水田から畑地への転換は、土壌環境や供給される植物残渣(根や茎葉)の質を劇的に変化させ、土壌有機物の動態に大きな影響を与えます。本研究では、13C/15Nでラベリングしたダイズとトウモロコシの異なる部位を用い、残渣の質(C:N比やリグニン含量)が土壌有機炭素中最も安定である鉱物結合有機物(MAOM)の形成プロセスに与える影響を1年間の圃場試験で解明しまし。解析の結果、残渣の質がMAOM形成の「速度」と「経路」を決定する要因であることが明らかになりました。ダイズ葉などの高品質な残渣は、分解初期(30日以内)に微生物を介して迅速かつ安定なMAOMを形成した一方、低品質な残渣は粒子状有機物低分解(POM)からMAOMへと長期的に転換され続ける経路を辿りました。最終的には、初期分解と持続的な転換のバランスに優れたダイズ根が最大のMAOM蓄積量(28.3%)を示しました。本研究は、転換畑の炭素蓄積を向上するため、供給する残渣の質に基づいた管理戦略が極めて重要であることを示唆しています。

Dang, L.V., et al., Environmental Research  283: 122158, 2025. https://doi.org/10.1016/j.envres.2025.122158