
微生物の炭素利用効率(CUE)は、微生物バイオマスとして蓄積される炭素と、二酸化炭素として大気に放出される炭素のバランスを決定するため、土壌有機炭素(SOC)動態の極めて重要な指標となります。本研究では、日本の黒ボク土において36年間継続された長期施肥試験を通じ、養分供給が微生物の代謝戦略およびCUEに与える影響を明らかにしました。解析の結果、微生物のCUEを向上させるには、炭素およびリン(P)の利用可能性を高め、それらのバランスを最適化することで、微生物のP制限を緩和することが不可欠であることが示されました。この制限緩和は、CUEを直接的に改善するだけでなく、優占する微生物群集を「資源獲得型」から「高収穫型」へとシフトさせる効果も持ちます。これにより、炭素獲得酵素の産生を抑制して代謝エネルギーの節約が可能となり、間接的にもCUEを高める結果となりました。長期的なNPK施肥は、P制限の緩和とライフ戦略の転換を通じてCUEを大幅に向上させました(P欠乏区:0.20→NPK区:0.35)。この結果は、適切なリン管理が「養分獲得」と「エネルギー節約」のバランスを最適化し、黒ボク土の炭素蓄積を最大化する鍵であることを示しています。
Lyu, H. et al., Environmental Research 277: 121598, 2025. https://doi.org/10.1016/j.envres.2025.121598
